商品写真と承認済みの説明文はある。でも、広告で何を一番に伝えるかが決まらない。この記事は、既存の商品素材を持つチームが、有料で配信する商品広告を自分たちで企画するためのガイドです。
内ポケットを訴求するなら、内側の写真を先に選びます。見せられる構造と承認済みの説明文をそろえるところから、動画広告制作を始めましょう。
動画広告の目的をどう決める?
誰に何を理解してもらい、見た後に何をしてほしいかを一文で決めます。「売上を伸ばす」だけでは、残す映像も最後の文言も選べません。
たとえば、「通勤用バッグを比較している人に、小物を分けて入れられる構造を見せ、商品ページで内側の仕様を確認してもらう」。ここまで決めると、内ポケットの写真を優先し、CTAは「内側の仕様を見る」にできます。CTAは、視聴者に次の行動を伝える短い文言です。
YouTube向けの広告の目的に合った行動喚起でも、求める行動を明示することが重視されています。SNS動画広告やWeb広告動画を企画するときも、CTAと移動先で確認できる情報をそろえておきます。

今回は、内ポケットに小物を分けて入れられることが伝われば、構成の目的を満たします。動画広告を作成する前に、商品担当にもこの一文を見せ、ほかの特徴を足す必要があるかを決めておきます。
商品ブリーフに何を入れる?
商品、見る人、訴求と根拠、素材、CTA、制作条件、承認担当をまとめます。ブリーフは、編集中に「何を足してよいか」を判断するための制作メモです。
以下は架空のトートバッグ「Nagi」の記入例です。実在商品の仕様や制作実績ではありません。右欄を自社の商品情報に置き換えて使ってください。
| 記入項目 | 記入例 |
|---|---|
| 商品と対象 | Nagiトートバッグ,現行モデルのネイビーのみ |
| 見る人と目的 | 通勤バッグを比較中の人に内側の構造を伝える |
| 一つの訴求 | 内ポケットに小物を分けて入れられる |
| 確認資料 | 現行仕様書,内ポケット写真,商品担当の承認文 |
| 使わない表現 | 未確認の撥水性能,耐荷重,収納時間 |
| 支給素材 | 全体写真,内側写真,小物を入れた写真,ロゴ |
| 表現の方向 | 落ち着いた背景,商品の色と形を変えない |
| CTAと移動先 | 内側の仕様を見る,対象モデルの商品ページ |
| 価格と販売条件 | 動画には価格を入れず,商品ページで案内 |
| 配信予定と制作条件 | Instagramリール広告,希望30秒,仕様は入稿時確認 |
| 素材の権利 | 写真の広告利用と加工範囲を確認,BGMは別途選定 |
| 承認と日程 | 商品担当が事実確認,広告責任者が最終承認,入稿前に修正日を確保 |
訴求と根拠は別欄にします。「収納しやすい」という承認文があっても、「5秒で片付く」まで確認したことにはなりません。商品の性能や優位性は、表示を裏付ける合理的な根拠を説明できる範囲で書き、表現ごとに確認資料を対応させます。
また、写真を持っていることと広告で使えることは別です。契約で許諾された利用方法と条件を確認し、外注写真なら加工やAIサービスへの提供も確認対象にします。判断できない素材は、制作を始める前に担当者へ戻してください。
一つの訴求を映像にどう組み立てる?
見る人の関心、商品の特定、訴求の裏付け、次の行動の順に並べます。各カットに役割を一つずつ与えると、足りない素材も見つけやすくなります。
Nagiの例では、次の順番を基本案にします。秒数を決める前に、写真と文字の組み合わせが伝わるか確認します。
| 順番 | 映像と画面の文字 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1. 関心をつくる | 小物を入れた内側写真."通勤の小物を分けて収納" | 入っている物と収納位置が見える |
| 2. 商品を特定する | 全体写真と商品名."Nagiトートバッグ" | 対象モデルの色,形,ロゴが正しい |
| 3. 構造を見せる | 内ポケットの写真."内ポケットに小物を分けて" | ポケットの位置や数を変えていない |
| 4. 行動につなげる | 全体写真と"内側の仕様を見る" | 商品ページに対応する情報がある |

この例なら、ポケットの縫い目が見える程度の寄りを優先します。写真を大きく動かして内側が見えなくなる演出は、今回の訴求には合いません。素材が不足しているなら、必要な角度の写真を追加するか、見せられる範囲まで説明を狭めます。
公開事例では、Laura Mercierがファンデーションを使いながらレビューする動画を起点に、TikTokで広告キャンペーンを展開しました。制作上の参考になるのは、商品名の紹介に加えて、使う場面がある点です。ただし、生成した使用シーンを実際の使用レビューや性能試験の証拠として扱うことはできません。
広告動画の作り方で迷ったら、各カットを外しても主張が伝わるか見てください。同じ説明を繰り返すカットは削る候補です。15秒版へ圧縮する場合も、まずこの構成の採用可否を決めてから短くします。
初稿のどこを修正する?
商品外観、訴求、文字、CTAの順に確認します。色や形の誤りを残したままテンポを整えても、広告として採用できる初稿にはなりません。
Nagiなら、最初に写真と動画を並べ、持ち手、縫い目、ポケットの位置を照合します。次に、画面の文字とナレーションを承認文と比べます。「小物を分けて入れられる」が「探し物がなくなる」に変わっていれば、説明の範囲を超えています。
修正指示は、場所、変える内容、残す内容、合格条件をまとめます。たとえば、「3カット目の『5秒で収納』を『内ポケットに小物を分けて』へ変更。内側写真は維持。ポケットの形と位置が支給写真に一致した状態にする」です。「もっと商品の良さを出す」より、修正後に確認する箇所が明確になります。
会話型AI動画エージェントのPexoで進めるなら、商品写真とブリーフを渡し、方向とプレビューを見ながら会話で修正を依頼します。URLを素材にする場合は、公開Webページを使う方法に沿って、対象商品のページと変えてはいけない事実を添えます。入力形式、書き出しの画幅、修正できる範囲は、利用時の公式情報と画面で確かめてください。
Nagiの初稿でポケットが増えていたら、その修正を先に依頼します。BGMなどの調整も必要なら、残す部分を含めて要望をまとめます。クレジットの残高と利用状況を見て、次の修正に進みます。

パッケージ文字や字幕の正確さ、一度での完成は前提にしません。必要な文字を安定して直せない場合は、実物写真への差し替えや別の編集環境での補正を検討します。
最後に無音と音ありで再生します。発話と理解に必要な音の情報を字幕で伝えることも確認し、商品名の読み、数字、字幕の表示時間を人が見ます。修正した部分だけでなく、正しかった色やロゴまで変わっていないかも再確認します。
配信前に何を確認する?
完成データを基準に、商品の事実、権利、配信先の条件、承認履歴を確認します。プレビューが正しくても、最後に差し替えた素材や文言は確認し直します。
| 確認対象 | 合格の判断材料 |
|---|---|
| 商品外観と事実 | 現行モデル,色,容量,パッケージが仕様資料と一致 |
| 訴求と文字 | 性能,数値,注記が承認済みの範囲に収まる |
| CTAと販売条件 | 移動先の商品,価格,割引,期間と食い違わない |
| 写真,人物,音声,BGM | 広告利用,加工,媒体,地域,期間を実際の許諾で確認 |
| 配信先と承認 | 最新の入稿仕様と審査条件,必要なAI表示,最終承認を確認 |
TikTok広告では、広告とリンク先の価格や割引内容の不一致が禁止されています。Nagiのように動画へ価格を入れない版でも、対象モデルとCTAの移動先は開いて照合します。別媒体へ使う版は、入稿前にその配信面の最新仕様に合わせます。
音楽も、流行しているかより使用条件を先に見ます。TikTokの商用音楽の利用条件は、広告に加えてブランドの通常投稿にも関わります。楽曲ごとの許諾と配信先の公式ルールを確認し、アップロードできることを商用利用の許可とは判断しません。

広告動画制作の最終承認は、確認したファイル名と版、承認者、日付を残して行います。未確認の事実や権利が残る場合は解消してから入稿します。制作の完了と広告審査の通過は別の工程です。






